石畳の間に大木の根がからみついていた。

この道は熊野三山に通じている。

太古の昔から自然崇拝の地として数え切れない人が歩いた道。




ここに来たのは中学の修学旅行だった。

あの時布団の中で告白しあった「好きなコ」

大人になってそのときの「好きなコ」と結ばれたのはほんの一握り。

なんの打算もなくただ「好き」って気持ちを持っていて、目があったり話せただけで幸せになれた時代。



いつからオンナは「好き」の中に「生活」や「安定」を望んだんだろう。

あたしは歩き出した。

シダを敷き詰めた馬越峠はなんの準備もせずにやってきたあたしがヒールで歩くにはつらい道だった。

苔むした石畳にかかとが挟まる。


それでもあたしは歩き続けた。


伊勢から昔人が自分の再生を願って歩き続けたように・・。








ーあたしも、再生、したい