1時20分。


郵便物の仕分けを終えてオフィスに戻ると絵里はまだ戻っていなかった。

大方化粧室にこもって入念にメイクを直しているのだろう。



それにしても遅すぎる。


雄治は絵里の何に惹かれたんだろう。

性格?それとも色っぽさ?

それとも・・・




若さ?




22歳。

あたしは絵里と同じ歳のとき何をしてた?

この会社で今と同じ毎日を送っていた。恋人もなく、言い寄るオトコもなく。



ただただがむしゃらに。


単調な仕事でもプラスアルファをつけたかった。

なくてはならない存在になりたかった。



あれから10年か。



何が変わっただろう?

生かさず殺さず、そのくせいなければ不便がられて。
コピー取りにプラスアルファをつけようがつけまいが、
次々入ってくる「若さ」には太刀打ちできない。



そして・・・。





「若さ」は失敗を許される。


10年目の節目。



いい機会だ。




立ち止まる時なのかもしれない。