あたしは雄治にも絵里にもうそをついた。


雄治には「新はそのうち戻る」と。

絵里には「新とちゃんと話せた」と。

雄治も絵里も安堵の表情を浮かべていた。

2人とも同じような表情だったけど、絵里は新と会ってるからほっとしたような表情が示す意味は雄治とは違うものだったと思う。



新に会ってから4日が過ぎた。

ずっと新のそばにいたかったけど、そうすることはあたしたちの間にはふさわしくないように思えた。

だから、あたしは普段と変わらない生活をするように心がけた。

新の机から毎日誰かの荷物を追い払ってほこりをはらっていた。

朝一番は毎日オトコたちが雑用をいいつけてきた。

3時になればベンディングマシーンの掃除をした。

あたしがここで過ごした10年間の変わらない毎日がそこにあった。

新と会ったのは1年前だけどそのときも毎日同じことをしてた。

飲み会の日も、クリスマスも。