看護士がてきぱきと点滴を交換して病室を出ていった。

新の目だけがわずかな動きであたしの姿を認めた。


左手が弱々しくあたしのほうに伸びて、あたしはベッドの横に座り込んで新の手を取った。




「ゆ・・・か・・・ちゃ・・ん」





新の低いハスキーな声はもうほとんど聞き取れない。


透明の酸素マスクの中で白くくもる吐息と唇の動きでそう読み取れただけだった。

涙がこぼれそうになって、あたしはくっと歯を食いしばった。



「で・・・て・・・っ・・・・て」





枯れ枝のようになってしまった細い指がドアを指差していた。




「か・・・・・・っ・・・・こ」





左手があたしの手を振り払った。ほとんど感じられない弱い力で。






「か・・っ・・こ・・つ・・けさ・・・せ・・て・・」