2007年が始まった。

年の初めをあたしはホテルの一室で迎えていた。

夫から何度も携帯へ留守電が入っていたけどあたしは無視していた。


なぜなら。



「戻って来い」でも「どこにいる?」でもなくて「お歳暮は贈ったのか?」と「おせち料理はどうなってるんだ?」という2つのメッセージだったから。



シングルルームのベッドにどさりと腰掛けて、何十回目かの番号をプッシュした。

すっかり暗唱してしまった11桁の番号。


「この電話はお客様の希望によりおつなぎできません」



聞きなれた機械のメッセージも変わらなかった。


新の携帯番号、解約されていたら現在使われてないと言うはずだ。


新の希望でつながらないだけだから、電源を入れさえすれば必ずつながる。


何十回目かのメールも入れた。


送信ボタンを押して、すぐに新着メールの受信ボタンを押す。

送れないなら今送ったメールは戻ってくる。


今日もまた「送信不可能」のメールはなかった。