新は何も言わずに歩いていってしまった。
あたしを送っていくって言ったのは雄治や絵里の手前やむなくだったんだ。
あたしはふらつく足をだましだまし、タクシーを拾うために車道に出た。
目の前に迫るヘッドライト。
急ブレーキの音が現実に引き戻した。
「危ない!」
腕を誰かに強くつかまれ後ろに引き倒される。
その拍子に勢いよくしりもちをついたけど痛みはまったく感じなかった。
自分でも思いもせずおかしくなって、知らず知らずのうちに笑っていた。
「あーあ、笑っているよ。この人は。
危ないよ、幼稚園児だってわかるぜ。車道に飛び出してはいけません」
道路にぺたんと座ったまま横を見ると紙コップが二つ倒れていた。
「こぼれちゃった。せっかく買ってきたのに。ココア」
「ココア?」
「そう、ゆかちゃん、コーヒーあんまり好きじゃないんだろ?ココアなら飲むかなあと思ってさ」
「なんでそう思うの」
「俺、会社で見てるからね。ゆかちゃんのこと」
あたしを送っていくって言ったのは雄治や絵里の手前やむなくだったんだ。
あたしはふらつく足をだましだまし、タクシーを拾うために車道に出た。
目の前に迫るヘッドライト。
急ブレーキの音が現実に引き戻した。
「危ない!」
腕を誰かに強くつかまれ後ろに引き倒される。
その拍子に勢いよくしりもちをついたけど痛みはまったく感じなかった。
自分でも思いもせずおかしくなって、知らず知らずのうちに笑っていた。
「あーあ、笑っているよ。この人は。
危ないよ、幼稚園児だってわかるぜ。車道に飛び出してはいけません」
道路にぺたんと座ったまま横を見ると紙コップが二つ倒れていた。
「こぼれちゃった。せっかく買ってきたのに。ココア」
「ココア?」
「そう、ゆかちゃん、コーヒーあんまり好きじゃないんだろ?ココアなら飲むかなあと思ってさ」
「なんでそう思うの」
「俺、会社で見てるからね。ゆかちゃんのこと」

