新と並んで歩いた。

暁の街を。

左手にかかとの折れたヒールを持って。



右手は、新の左手につながれていた。



闇はすべてを許す。

誰も通らないし、誰もとがめない。


裸足にアスファルトは冷たかったけど、あたしは新の左手のぬくもりで寒くも痛くもなかった。


好きじゃなくてもいい。


このぬくもりだけを信じたかった。


ふわり、と自分が宙に浮いた。



「裸足で歩いたら寒いよな」

新があたしを抱き上げた。顔と顔が近くて新の吐く息の白さすら愛しかった。

こんな近くで見れなかった。

心臓は早鐘を打つように脈打って、あたしは新に聞こえてしまうのではないかと思った。


新はあたしを抱えたまま、また夜の街を歩いていった。