「こんな夜中にどこにも行けるとこはないよ」

あたしは混乱した。


新の胸の中で。


おずおずと新に尋ねた。



「どうやって、ここに?」

「緊急スクランブル。まずいかと思ったけど緊急事態だから。きみのIDカードの発信器を追っ掛けてきた」



あたしの肩から力が抜けていく。

新の胸はあたしをどこまでも無防備にさせる



「こんな特別な夜に飛び込みで泊まれるほど世間は甘くないよ。しっかりしてそうにみえて、きみはいつも危うい。ほっておけない」



新の腕に力が入る。



「帰ろう」

「どこに?」


あたしの帰る場所はどこにもない。

新はあたしをもう一度抱き寄せた。

強く、強く、痛いほど。




「俺の家に」