毎日毎日調査は深夜まで及んだ。

やってもやっても次から次へと資料は出てきたし仕事も追加された。

絵里はうまく仕事の依頼をかわして毎日定時に帰っていた。

ー要領悪いんだな、あたしって。いつも貧乏くじー

ひとりごちながらただただ黙々と仕事をこなした。

毎日帰宅は11時を回りそれからごはんをつくり夫の帰宅を待つのはとても労力を使うことだった。

だけど11時に帰っても夫が帰宅していることはない。

たいがい1時過ぎにふらりと帰ってきてご飯かお風呂。

食べるときもあれば「接待」という理由で食べないときもある。

ただ、食べるものが何もないと機嫌を悪くするから5品6品のおかずを作って帰宅を待った。

休日はゴルフ、そうでなければ一日中ソファかベッドで眠っていた。


その日は本当にたまただった。

そう、結婚して以来はじめてのこと。





あたしが帰宅するより早く夫が家に帰っていた。