「井上さん、さすがにゆかちゃんってのは照れますよ。そういう歳でもないし。西田じゃダメですか?」

「西田・・・」

新は店員を呼ぶと2杯目のビールを注文した。

「西田、ね」

待つ間もなくグラスが届き、新はまた一息に半分を空間にした。

グラス越しにあたしを見て突き刺すようにいいはなった。

「西田ってダンナの苗字だろ。女性が旧姓や自分の名前を名乗らずにダンナの姓を名乗っているのって、過去の自分はハイ捨てましたって感じがして俺、嫌いなんだよね。
正々堂々と勝負してないと思ってるんだ。実は」