有紀は顔をうつむかせた。 黒いシルクがアメジストを隠す。けど、輝きは隠れない。 「……ごめん」 「謝られたら仕方ないなー。ま、昨日は――」 健は有紀の耳元に囁いた。そうやっていつも愛を語るのかな。 爆弾が爆発したみたいな教室の中で流れたオルゴールの音色。 私にはどんな曲かはわからない。 健の言葉を聞いた有紀は途端に顔を真っ赤にさせて健から離れて、向き合った。 「ばかっ。何言ってんのよ!」 健は有紀の怒りを包みこむように笑った。