実をいえば、

弓倉もまた、
高志が本屋にいるこにかなり早い段階で気づいてた。

今だ自分が学生時代に使っていた資料本を手にしていた妹を連行し、

説教しながら書店の入口をくぐって数歩。

弓倉センサーに反応する、
見慣れた少年っぽい高さの、
見慣れた少年っぽい頭。

ちょろちょろと動くそれは、弓倉に脊髄反射で足をとめさせた。

「……む」

弓倉は小さくうなり、
顔は正面に向けたまま目の縁でその頭を見る。