「試験というのは、年々性質が変わる。パスしたければ常に最新のを使え」

「うん、そう言うから今日はお姉ちゃんに一緒に買いにきてもらったんだけど。……こんなにいっぺんには買えないし」

「分かった、ほら、これで払ってこい」

棚に本を戻そうとする妹の手を押さえ、
弓倉は財布から札を渡してレジに向かわせた。

「ありがとう、湊ちゃん」
「感謝するのなら、その呼び方をやめろ」

「うん、お姉ちゃん、ありがとね」

ほくほくと本を運んでいく妹。

とりあえず、感謝の言葉は嘘ではなく心からのもの。

「だから性質が悪い」

弓倉はつぶやく。

出したお金のことは大して気にせず、
釣銭の幾分かはまた余分なものに変わることも予想して、

高志を見下ろした。