目指す待ち合わせ場所は、ここから3つ目の駅。

その裏口から出たところにある市営の地下駐車場。

高志はドキドキしながら車内を見回し、

列車が駅につくと、
開いたドアから首を左右に振って、

知り合いがホームにいないことを確かめ、素早く、かつ平静を装って改札を抜ける。

駅の出口横の階段を降りると、薄暗い電灯の下に並ぶ車の列。

高志は弓倉の物を見付けると、さささっと歩みよった。

「先生~ぇ」

近づいて、窓から声をかける。

バクン。
内側から開くドア。

身を滑り込ませると、高志はようやく運転席に座る弓倉に会えた。

「おはよう、少年」

膝に本を置いて、挨拶してくれる。