「あの、先生……」

その顔を見て生徒が心配そうに声をかけた。

表情を戻す弓倉。
唇の端だけで笑って答えてやる。

「ああ、生徒の告白シーンを暴露するほど嫌な女じゃない」

安心する女生徒達。
弓倉は、そのまま準備室へと身体をむけた。

背中で聞こえる無邪気な声。
ドアを開けて中に入り、後ろ手に閉じた。

弓倉が見た窓の下、
同級生の少女に告白を受ける高志がいた。