小学生時代の夏休みの宿題のころから、しばしば私に教えて欲しいと言ってくる弟だったが、

中学に上がってから、その教科の比率が理科に偏るようになった。

理系に目覚めたとか、
逆に苦手に科目であるとかではない。

「理科?」
「う、うん、だめ?」

そう言葉に出して訊くときに見せる弟の困った顔と、声に混じっている焦りの色。

それから私の机の上を見て、
私も勉強中だったことを知り、

「あ、お姉ちゃんも勉強中だった?」

と私に気遣いながらも、
目は懸命に哀願してくる。

「だめなわけないでしょう」

答える私。