「僕は本当にここで」

高志は言って、これで最後だと、
しっかり弓倉姉妹を見比べた。

よく似ていて、やっぱり違う。
自分が好きになった人と、その妹。

高志は、にこっと笑った。

主に咲木の方にむかって頭をさげ、
たたたっと背を向けて駆けていく。

「ふう~」

高志を見送りながら咲木のため息。

「あの子、本当に湊ちゃんの生徒なんだね。いいな~」

「そう思うか?」
「湊ちゃんは思わないの?」

弓倉は考えて、

答えを言わないまま、
高志が去ったのと反対方向へ歩きだす。