咲木は素直に頷き、
残りの食事にとりかかった。

「少年も食べてしまえ、ここは私の奢りだ」
「もちろん私の分もだよね」

咲木は食べながら確認する。

「ああ、勝者の余裕として奢ってやろう」

言って、弓倉はコーヒーをすすった。

「はいはい、敗者は感謝してお昼を食べますよ」

咲木はパクパクと口を動かして、
食事に専念し始める。

「……まあ、その少年の趣味も変わっているからな」

弓倉が小さく呟いた言葉は、
高志の耳にしか聞こえなかった。