「啓ぃ…緊張するよッ。」

俺たちは今舞台裏でスタンバイ

していた。

ドレスを着た兎が

行ったり来たりしていた。

「兎ぃ…じっとしてろ。」

「無理ッ!」

小声で兎が言った。

無理もないか…兎は初めての

舞台だからな。

それに、有名な人が来てるっぽいし。

兎が俺の前を通りすぎようとした時

「兎ッいつも通りに歌え。

お前は気取らなくても十分うまいんだから。

この俺が認めたぐらいだからな。

自信もて!」

兎の腕を掴んで引き寄せて

俺の胸の中にいる兎に囁いた。

「…ぅん。」

緊張か?照れてんのか?

兎の耳が赤くなっていた。