読みきり短編小説集



あたしは我慢できなくてナキに電話をかけた。


「もしもし」


いつもより低く、落ち着いているナキの声。
これは、あたしにしか出してくれない声だった。



「ナキッ・・!?」


あたしは、言葉が整理できない状態だった。


「イサ?大丈夫だよ。
たとえ仲のいいトナでも、俺はイサが好き。
ちゃんと断るから」


ナキはあたしのこと、よく分かってくれてる。



電話をきった。


なぜか、涙がでてくる。