「…んで、xの解は2になるんだな」

「すごい…そういうことなんだ…」



日曜日の朝、図書館の片隅で開かれた小さな勉強会は、まるでマジックショーか何かのようだった。

一つ問題が解かれるたび、私は心の中で拍手をした。


「他にもやり方はあるけど、とりあえずこの方法だけ分かってればテストは乗り切れるから」


翔平は高校の勉強を覚えているどころか、深く理解した上で人に教えられるくらいの技量を持っていた。


堅く絡み合った糸を手際よくほどいていくように、応用問題すらあっさりとクリアしていく。


彼に説明されると、まるでその問題がそれほど難しくないもののようにさえ見えてくる。

もっとも、彩以上に数学の苦手な私にとっては、結局よく分からないままなのだけれど。


今朝も相変わらず暗かった彩の顔は、眠っていた花が咲いたように晴れ晴れとしていた。