土曜日の夜は、八月らしいぼんやりとした熱気に覆われている。 「世間は夏休みかあ。大人になると季節も分かんなくなるな」 可愛らしいパックでフルーツオレを飲みながら、翔平がつぶやく。 「ねぇ、翔平って高校は行ってたよね?」 「うん、行ってたよ。ちゃんと卒業したし」 「高校の勉強って覚えてる?」 「そりゃあお前、俺は結構真面目な生徒だったしな」 「本当?じゃあ数学分かる?」 それまではゆったりと構えていた彼は、疑り深い目で私を見た。