「なんか兄妹っぽくない?」
「へっ?」
予想していた、ありふれた言葉に対する反論を考えていた私は、また鈍い返事をしてしまった。
「あ!よく見ると俺らちょっと似てない?」
「…似てないよ」
「いや、似てるって!ほら、この目のあたりとか…」
「似てないよ、似てないってば」
無遠慮に人の顔を指差す翔平に怒りながら、私は笑ってしまっていた。
ここ最近、そんな風に笑うことが少なかったことを実感しながら、そういう何でもない時間に身を任せていた。
遠くから響く、七時を告げる音楽に翔平が気づくまで、あたしは腕時計を見ようとしなかった。



