私達はお互いに、電話番号もメールアドレスも知らない。


土曜の夜、約束もせずに会って、話す。


その限られた時間が、限られているからこそ、私にとっては大切だった。



「ね、司沙。どこ行きたい?」



「…え?」



窓の外の景色に気を取られていた私は、唐突な質問にうまく応ぜなかった。


「どっか連れてってやるよ。まあ、電車だけどね」



正直、はじめはあまり気が進まなかった。