「どうした、司沙!なんか暗くない?」 「翔平…」 いつものように歌い終わった後、彼は二本の缶ジュースを持って歩いてきた。 あの日、私の歌を好きだと言ってくれたこの人は、それ以来毎週聞きに来てくれる。 彼自身はもっと以前から聞いてくれていたのだけれど。 名前は、一柳(いちやなぎ)翔平。私より四つ年上。 名前を呼び捨てにするのをためらったのは、最初の一、二回だけだった。 彼がそうしてほしいと言ったのだから、私が遠慮する必要はなかったのだけれど。