「誉木、どこへやった」







僕が返した答えは、それだった。








「……は…?い…今関係ないじゃんっ!!」

「どこへやったと聞いてんだ」

「アタシの告白聞いてたぁ!?」

「お前らがあいつに嫌がらせしてるのは聞いてた。
どこにやったんだ!?」






声を荒げた僕は、山羊を壁に追いやった。





「ちょ、摺月…恐いよ…」

「答えろ」

「お、落ち着いてよ…ね?
ちょっとした、悪戯だってば…。
マジじゃないから……許して…」




山羊は震えながら頭を抱え、その場にしゃがみ込んだ。


それでも僕の怒りは治まらない。



今度は静かな声で言った。





「誉木の場所を教えろ。
…そしたら手は上げない」



山羊は鼻水を流しながら泣きじゃくり、グラウンドの隅にある物置を指差した。





僕は振り上げていた腕を下ろし、脱力する山羊をよそに

物置へと走った。






.