「眠れない……」


寝静まった屋敷の一室。

零れたのは、小さな呟き。


この間までいたメイドの子が辞めて、仕事が増えて疲れているから、普段ならもう夢のなか、なのに。

守らなければならない、その人から言われた言葉に、彼はただ、迷っていた。


“どうして自分だけ、専属執事がいるの”


理由……それは、約束したから──…。

けど、そんなこと、誰にも言えない!

だって、それは秘密の、禁忌の関係だったから。


彼はベッドのサイドテーブルに手を伸ばす。

そして、タバコがきれていたことを思い出す。

外は静かな雨の音。

傘を片手に、コンビニに向かった……。