中野美奈子(24)はR総合病院で働いていた。
外科病棟の看護師だ。中野は今までだったら先輩から仕事を教えてもらう立場だったが、今年からは後輩が増えて教える立場になった。
元々仕事を教えるのは好きだったようである。そのせいか後輩からは『美奈子先生』と呼ばれ、慕われていた。

山本佳奈(27)はR総合病院の小児外来で働いていた。
最近は風邪が流行しているようで、連日赤ちゃんが小児科に訪れる。さすが外来はてんやわんやで忙しい。それに泣き声。他の外来にも聞こえるほどの泣き声に、山本はうるさくて仕方なかったが最近はやっと慣れたようだ。一昨年までは、隣町にある内科の個人病院で勤務していた。
その医院長が亡くなってしまい、それでR総合病院で勤務するようになったのだ。

田中三郎(50)はR総合病院でボイラーの仕事をしていた。
この病院は建物が古く、3年後には新しく建て替えるのだ。
なのでボイラーの故障も多い。
ボイラーも限界まできていた。
田中は後3年もボイラーがもつのか不安だった。