「顔が見れねぇのはちと残念だな」

ゼンがリアの金色の髪を一房摘んだ。

この男は人の髪をいじるのが好きらしい。
リアはため息をついた。

「ほら、支度が出来たなら早く行くぞ」

「おお。そうだった」

馬をひいて、ゼンとリアは船に向かって歩き出した。
「そうだ。アンタ、船の中では話し方に気をつけろよ」

「……は?」

「俺は気にしねぇけど、アンタ話し方が男みたいだからな、変に思われるぞ」

「……努力しよう……」

「では、よろしくお願いするよ。リーシャ」

「……なんだその口調は。……リーシャ?」

「君の名前だよ。まさかリアトレーゼンと呼ぶわけにはいかないだろう?それに僕も海賊のように荒っぽい口調は、怪しまれるからね」

嘘くさい笑顔で微笑まれてリアは背筋に悪寒が走った。

(気色悪い……)

「僕のことはセラフィーと呼んでくれたまえ」

「……」

リアは凄く嫌そうな顔をして盛大にため息をついた。
船の乗り場に着くので、リアはボロを出さないように黙った。

ゼンは何やら封筒を差し出した。
二人いる入り口の男の一人が受け取ってニヤリと笑った。

「お忍びですか」

「彼女が恥ずかしがりやでね。では、失礼するよ」

軽く会釈をして、二人は中に入っていった。


「ありゃ、かなりの上玉だぜ」

「顔が拝みてぇなー……」

男は深々とため息をついた。