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今夜も、夜の海は月明かりを照らし穏やかに揺れていた。
王都に程近い港の明かりに隠れるようにして、一隻の客船が揺れていた。
「……ちょっと待ってな」
馬を近くの木に結び、ゼンは1人その船に近付いて行った。
1人になったリアは、2人を乗せて見事な走りをしてみせた栗毛の馬の鬣をゆっくりと撫でた。
「いい子だね……お前は……」
馬は、身動ぎすることもなく、大人しく草を食んでいた。
「王都から……こんな風に抜け出すのなんて初めてだよ」
そして、一人言のように呟いた。
「女の装いをしてみたところで、私は男であるほかはないのにな……」
父の顔と、そして王女の顔が交互に浮かぶ。
彼女を守りたい。
それは幼い時からずっと感じていたことで、今も、その思いが揺らぐことはない。彼女を守るためなら、リアは自分の全てを差し出しても構わないと思っている。
だから今、王宮に王女をおいて、こうしていることに負い目を感じた。
一人になると、自分がたまらなく悪い行いをしているように思えてくる。
ぎゅっと目を瞑って、心の中で父と王女に詫びた。
今夜も、夜の海は月明かりを照らし穏やかに揺れていた。
王都に程近い港の明かりに隠れるようにして、一隻の客船が揺れていた。
「……ちょっと待ってな」
馬を近くの木に結び、ゼンは1人その船に近付いて行った。
1人になったリアは、2人を乗せて見事な走りをしてみせた栗毛の馬の鬣をゆっくりと撫でた。
「いい子だね……お前は……」
馬は、身動ぎすることもなく、大人しく草を食んでいた。
「王都から……こんな風に抜け出すのなんて初めてだよ」
そして、一人言のように呟いた。
「女の装いをしてみたところで、私は男であるほかはないのにな……」
父の顔と、そして王女の顔が交互に浮かぶ。
彼女を守りたい。
それは幼い時からずっと感じていたことで、今も、その思いが揺らぐことはない。彼女を守るためなら、リアは自分の全てを差し出しても構わないと思っている。
だから今、王宮に王女をおいて、こうしていることに負い目を感じた。
一人になると、自分がたまらなく悪い行いをしているように思えてくる。
ぎゅっと目を瞑って、心の中で父と王女に詫びた。



