「まぁ、いいか」
リアを見つめて、ゼンは微笑んだ。
そんなことよりも、これから二人で出かけることが楽しみで仕方ないとでもいうように。
「今夜は顔はバレないから安心しろよ」
リアは怪訝そうな顔をして、ゼンを見つめた。
どこに行こうというのか、わざわざドレスを着せられるということは、人目のある場所だと思っていたのに。リアの正体が誰にも露見せず、ドレスを着る必要のある場所とは、一体どこであろうか。
「それより、俺たちが城から出て行ってから、誰かがアンタの部屋を訪ねたりすることはないのか?」
思い出したようにゼンが確認すると、リアは静かに告げた。
「私の部屋には誰も近付かないはずだ。呼び出されるとすれば、王女にだけだが、今日はもうお休みになられている時間だし、流石に夜中に私と会うような迂闊なことはなさらない」
王女が結婚前に、世間では男とされる者を寝所にあげたという噂でも立てば、非難を受けるだろう。
それがいくら護衛であり、世間では恋仲であると噂されているリアであっても。
(もしも私が普通の女として育っていたら、今この男がこの部屋にいることも、淫らと感じるのだろうか)
それが世間一般の、少女の考え方であろうに。
下着同然の格好まで見られたというのに、リアはこの男といる自分を淫らだとは思わないのだ。
(……やはり私の心はもはや普通の少女ではないのだろうか)
考え事をして黙っていたリアに、ゼンは一歩近付き、リアの肩にフワリ、とリアのドレスとよく合うショールを着せかけた。
驚いて振り向いたリアにゼンは笑みを浮かべ、
「少し歩く。外は冷えるからな」
リアは顔に、熱を感じた。
この男のこういう何気ない優しさにドキドキと高鳴る胸に、
(そこらの小娘と変わらないじゃないか!)
とリアはかけられたショールを握りしめて思うのであった。
リアを見つめて、ゼンは微笑んだ。
そんなことよりも、これから二人で出かけることが楽しみで仕方ないとでもいうように。
「今夜は顔はバレないから安心しろよ」
リアは怪訝そうな顔をして、ゼンを見つめた。
どこに行こうというのか、わざわざドレスを着せられるということは、人目のある場所だと思っていたのに。リアの正体が誰にも露見せず、ドレスを着る必要のある場所とは、一体どこであろうか。
「それより、俺たちが城から出て行ってから、誰かがアンタの部屋を訪ねたりすることはないのか?」
思い出したようにゼンが確認すると、リアは静かに告げた。
「私の部屋には誰も近付かないはずだ。呼び出されるとすれば、王女にだけだが、今日はもうお休みになられている時間だし、流石に夜中に私と会うような迂闊なことはなさらない」
王女が結婚前に、世間では男とされる者を寝所にあげたという噂でも立てば、非難を受けるだろう。
それがいくら護衛であり、世間では恋仲であると噂されているリアであっても。
(もしも私が普通の女として育っていたら、今この男がこの部屋にいることも、淫らと感じるのだろうか)
それが世間一般の、少女の考え方であろうに。
下着同然の格好まで見られたというのに、リアはこの男といる自分を淫らだとは思わないのだ。
(……やはり私の心はもはや普通の少女ではないのだろうか)
考え事をして黙っていたリアに、ゼンは一歩近付き、リアの肩にフワリ、とリアのドレスとよく合うショールを着せかけた。
驚いて振り向いたリアにゼンは笑みを浮かべ、
「少し歩く。外は冷えるからな」
リアは顔に、熱を感じた。
この男のこういう何気ない優しさにドキドキと高鳴る胸に、
(そこらの小娘と変わらないじゃないか!)
とリアはかけられたショールを握りしめて思うのであった。



