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仕事が終わって、王女が自室に戻ると、リアは自分の部屋に帰ってきた。
ゼンたち海賊に王女が襲われてから、しばらくは夜会には出席しないことになっていた。リアにとっては気苦労が少し減って良いのだが、今日ばかりは夜会があっても良かったと感じる。

何故あんな約束をしてしまったのかと、今更ながら後悔した。

そういえば、着替えておくべきだろうか……しかし、そんなことをすれば奴にそんなに心待ちにしていたのか、と勘違いされそうな気がする。

それはとても腹立たしい、というか嫌だ。
このまま待っておくか……。
いやしかし、またあの男の側で着替えをするのもそれはまた危険なのでは……


グルグルと思考を巡らせて、最後には
「……面倒だっ」
と言って隣の部屋に着替えに行った。

どうせ城を抜け出すのならなるべく早く抜け出すべきだ、だから着替えるのだと誰でもない誰かに言い訳をして、ドレスに袖を通した。