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「お頭!」

赤い髪が振り返る。
呼んだのは、彼に憧れる船の雑用の少年である。
大きな瞳を輝かせて、こちらに近づいてくる。

「なんだ、キリア」

「今日もどこかに行かれるんですか?」

「なんだ、気付いてたのかよ」

こっそりと抜け出していたつもりだったが、どうやらこの少年、キリアには気付かれていたらしい。

「あんまりみんなには言うんじゃねーぞ」

「もちろんですよ。毎晩毎晩、なにかお宝でも見つけたんですか!?」

「宝……ねぇ。ま、そんなとこだよ」

自分より少し背の低いキリアの頭にポンポンと自らの手を乗せる。

「この前もニコさんがお頭のお陰で命拾いしたと言ってましたよ!あのリアトレーゼン公とお頭が対峙する瞬間、見たかったなぁオレも!」

この前たまたま盗んだ宝の番をしていて、あのリアとの初対面を見ることが出来なかったキリアは、残念そうに、しかし瞳を輝かせて言う。

「そういやお前、ガキの時は王都にいたんだっけ」

ふと思い出して、キリアに聞いた。