袖を通す。
不思議な気分だった。
本当に幼い少女の時は、普通に女の服を着ていたが、王女の護衛の任に就いてからはずっと男装だったから。

久しぶりに着るドレス。

しかしリアは、鏡は見なかった。

女物の服を着ている自分の姿を鏡で見れば、それを自分であると認めてしまうことになるから。

こんなことは一時の戯れ。

本気になってはいけない。




……久しぶりのスカートがくすぐったい。


ゼンの前に行けば、真面目な顔をして、黙ってリアを見つめた。

「……やはり似合わないか……」

切なげに微笑んで言えば、ゼンはこちらに近づき、リアの髪を下ろし、首に装飾品を手早く取り付けた。

無言のゼンに何も出来ず、リアはされるがままだった。


最後にゼンは跪き、リアにドレスと揃いの靴を履かせた。