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カチ、コチ……


手元で音を刻む懐中時計を見つめる。

「なにやってんだ、明かりもつけずに」

どこから侵入したのやら、本当にこの城の警備はどうなっているのか。
いつの間にか入って来た男を、何も言わずに見つめた。

「てっきり、今夜はガチガチに武装して待ってるかと思ったぜ。

「そんなことをしても無駄だろう。下手に大声を出され人を呼ばれて、死に際に私の正体を叫ぶ……なんてことにでもなれば、困るのは私だからな」

明かりのない暗闇の部屋。
差し込む月の光が、うっすらと二人を照らす。男の印象深い赤い髪は、光がなければほとんど黒にしか見えない。

「そんなに見つめると襲っちまうぜ」

「男の私に欲情する奴はいないさ」

「世間の奴らが馬鹿なんだよ。どう見てもお前は女にしか見えない」

「それでも私は男だ」

自嘲気味に笑うと、ゼンがこちらに近づき、そして、ベッドに座るリアに跪いた。

「!」

「誰がお前を男にさせてる?
言えよ。俺が懲らしめてやる」