「剣は使えても、腕力じゃ勝てないって」

リアの両腕を掴んで、片手で抑えつけた。

「女らしく叫んだら、誰か来るかも知れないぜ」

リアを、今度は射るように見つめた。
悔しさにリアは、唇を噛んだ。

「殺すなら殺せ」

リアが、睨みつけて言う。
普通の少女なら、結婚前に男に下着姿を見られただけで、死にたいほどの屈辱であり汚点となるだろうが、リアにとっては、こうして女として見下されていることのほうが屈辱だった。

「……私は男だ」

悲しみと、悔しさと、もどかしさで、絞り出すように言った。

ゼンはふぅと息を吐いて、リアの腕を離し、くしゃっと髪を撫でた。

「そんな泣きそうな顔で言うなって」

そして、少し目線を上げて、照れたように言った。

「それより、胸元隠してくれ。目のやり場が……」

はっとして、リアは自分の胸元をシャツで隠す。
そして赤面して睨みつける。

「貴様なにがしたいんだ」

「あんたと親しく?」

ケロリと言って笑った。
ふざけてる、そう感じて腹が立った。