「夏帆ちゃん、どうする?」


完全に存在を忘れていた直人は

何食わぬ顔で聞いてきた。


その顔が、一緒に来るでしょ、と

確信しているようで


……無性に腹がたったけど。


そんなあたしに追い打ちをかけるように


「あれ、行きたいんでしょ?」


直人は、そう目線を

あたしがさっきまで見ていた

“占いの館”に向ける。


た、たしかに行きたい…


それに、あのカフェいてもつまんないし…



「い、いく!」


「んじゃあ、決まり!

 行こっ」


そう、二カッと笑って

あたしの手を引っ張って歩き出す。