雅兄に言われて近づいた海斗。 決してあたしに対した感情はなく。 たしかに自意識過剰な部分はあったのかもしれない…けど、 それならそうと言って欲しかった。 そうしたら、こんな気持ちにならなかったんだから 意地でも好きにならなかった。 ……絶対に。 「夏帆、帰ろっか」 不意に落ちてきた言葉に静かに頷いて 雅兄の声だけに集中して、他の声が入らないようにする。 自然なノリで手を繋いできた雅兄に いつもならツッコむとこだけど、 それすらできないくらいもっと奥歯を噛む。