「あたし、B組の佐賀くん狙ってんだよねぇ~」
「亜美ってば、よく他のクラスの男子なんてわかるね」
「そりゃ、彼氏ほしーし!」
やっぱ、そっちかよ!
「あ、でも
D組の海斗くんっているじゃん!
あのカッコイ―人」
亜美から海斗の名前が出たことに
別に悪いことしてるつもりじゃないっていうのに
心臓がドクンとやけに重く脈を打つ。
「海斗くんもいいよねえ」なんて言ってる亜美の声が遠くで聞こえる。
「あ、噂をすれば…だよ!」
そう、亜美が興奮気味にあたしの肩をしきりに叩く。
視野の端に映るのはまさしく海斗。
どんどんあたしのクラスの方へ歩いてくるのがはっきり分かってしまう。
横にはもちろんケバイ女ども……がいない?
「あれぇ?いつもの取り巻き達、いないねー」
そう、亜美が尋ねてくる。
もしかして…
さっき言ったことをさっそく実行しているのだろうか?
そんなに信用してほしいのか…?

