放課後居残りを言い渡されたコウに、私は仕事を手伝わされていた。
「何で私がやんなきゃいけないの〜」
「ほれっ。あと30枚あるから」
「優太に手伝って貰えばいいじゃんか〜」
「アイス食べたいんだろ?」
にやけるコウはドSにしか見えない。
ってか完全に、ドSだ。

無事に仕事を終えた私達はアイス専門のお店に向かった。
「…ここ値段高くない?」
「大丈夫。いくらでも買ってやるよ」
今日のコウはいつもと変わっていた。こんなに優しいコウを見たのは何年ぶりだろう。
私達は窓際の席に座った。
「お前1番高いの選びやがって」
「でもおいしいしっ」
「…鼻」
「ん?」
「付いてる」
そう言ってコウは私の鼻に付いていたアイスを指ですくった。
「ちょ、何すんのっ」
「台なしな顔がアイスでもっと台なしになんぞっ」
「…うるさいばか」
やっぱり今日のコウは違う。いつもはばかにしてくるはずなのに。

帰り道、家が20kmも離れていて電車通学の私は駅まで送ってもらうことにした。
もう夕方の6時間半。空は暗くなってきている。