初恋+one



ぐっと歯を食いしばり、
涙を必死に引っ込める。


貴大は何も言わなくて、
ただあたしの話を聞いてるだけ。




一瞬の沈黙さえも、
あたしにとっては怖かった。



怯えて、この先の言葉を見失いそうになる。



ダメだよ。

ちゃんと、伝えて。

言わなきゃ何も伝わらない・・・・・・




上げた顔。


一瞬絡む視線。



半泣き顔を見られたって、
もういいもん。


だって顔を見た瞬間、
――――もう想いが溢れそう。





「あたし、貴大が好き・・・・」





気持ちが零れた瞬間。
涙も一緒に出てきてしまった。



泣いちゃダメなのに、
もう涙を止める方法すらわからない。






「あたしが好きなのは、旬じゃないの。
もうとっくに、貴大だけなの・・・っ!」





あんなに言うことに怯えてたのに、
1度口に出してしまえば止まらない。