11月の冷たい風が、
容赦なく俺に叩きつけられる。
俯いていた顔を上げると、
もうすっかりと寂しくなった桜の木が見えた。
色をなくした桜の木は、
俺の目にはモノクロにしか写らない。
いや、桜の木だけじゃない。
空も、校舎も、何もかも。
俺の目に写る物は、
すべてがモノクロとなって映し出される。
柊を好きになる前は、
どーでもいいことが楽しくて。
毎日がただ普通に過ぎてった。
柊を好きになってからは、
周りの物すべてがキラキラ光って見えて、
俺の世界はカラフルに。
それからだんだん色が落ちて、
今はこのありさま。
世界はこんなに暗かった?
俺は今までどうやって過ごしてた?
俺は今まで何に笑ってた?

