自分の変化に頭が追いつかないまま、
信号を渡り終えて何の躊躇のなくあかりの腕が離れた。
「ふーっ、ギリッギリ。
気付いたあたしに感謝してよねー」
「アイスはダブルに格上げー」とか、
ふざけたこと言いながらあかりは先に歩き出す。
なんだ俺。
変なの、マジで! 変なの。
今まであかりが掴んでた腕で頭をがしがし掻く。
アイツ、アレじゃん。
「ちょっと、何止まってんの?」
兄貴いるからあんな事あっさりできんだよ。
あかりからとっさに顔をそらす。
アイツは何も感じねぇだろうけど、
俺、姉貴も妹もいねぇから!
偉そうな兄貴と、
ナマイキな弟だけだから!!
女に慣れてねんだよ。
いきなりあんなんされたからおかしくなっただけ。
他の誰かでもそうなってたよ。
つーか、あかりって。
あかりって!!
笑えねぇよ。
あいつ女も男も通り越して
おっさんじゃんかよ!
目を覚ませ俺!
あかりは男のおっさんだ!!
「さっさと行くぞ、あか太朗!」
「何ソレ、新しいギャグ?」

