だから、あんな風に『好き』を出してる奴は俺にとっちゃ珍しいもんだ。





なんでそんなに素直になれてるんだ?

なんでそんなに人を好きになれるんだ?

なんでそんなに想い続けられるんだ?




いくら考えても、“恋”を知らない俺は、
答えが出せない。出ない。



柊に向けていた視線を前へと戻し、
再び歩き出す。



なんでだろうな。



大人しいと思ってた奴が、

好きな奴なんて居なさそうな奴が、

俺の知らない“恋”を知ってる。




もう一度振り返り、

まだ固まってるあいつを見て

何故だかわからないが、



自然と口元が緩んだ。