「…ありがと。

もう大丈夫」


すっと
葵は俺の腕を解いた。



もう、夕方になっていた。


赤い空は
どこまでも赤で

青を巻き込んで

赤い光を放つ。



赤の中心を一点に見つめる葵の目は

もう
夢から覚めていた。



赤い眼は
赤い空を捉えて


まっすぐ見つめていた。



綺麗だと思った。




そして
また、涙が葵の頬を濡らした。