私が精一杯、怖い顔をして遣汰を睨みつけたら、



「お〜怖っ!!」

ってわざとらしく肩を摩った。


「未那、ごめんって。冗談に決まってるだろ?信じるなよ‥」



冗談って‥


私にしたら、冗談じゃないんだから!


「もう知らない。」


そう言って、私は遣汰に背を向けた。


本当に知らない。


そのまま歩き出そうとしたとき、



「何か言われた‥?」


遣汰が声のトーンを落として言った。



とっさに振り返ると、さっきまで騒がしかった教室には誰もいなくて、遣汰だけが真剣な顔で立ってた。



あっ‥‥




そっか。




私は気がついた。



遣汰が何を心配してるのかを。