放課後“早速、今日から作戦開始よ”と、笑顔で言う美緒に連れられてあたしは何も知らないまま美緒の後を着いていった。


ほんとは何度も



「ねぇ、どこ行くの?」



と聞いたんだけど、美緒の答えは決まって



「もうすぐ分かるわよ♪」



だった。



そうしてあたしは何も知らされないまま歩き続けた。



美緒は人ごみの多い街路地をうまい具合に通り抜け、1つの喫茶店の前で足を止めた。



「ここ?」



美緒に続いてあたしも足を止める。



「で?誰が待ってるの?」



さっきとちょっと違う質問をしたら、今度は美緒も違う答えを返してきた。



「あたしの彼氏♪」

「は?美緒の彼氏って……なんでよ」

「いや~、なんかね?タイミング良い所にあさに会いたいって、裕大(彼氏)の友達が言ってきたからさ。会わせたげようと思って」

「あたしに…会いたい?」

「そうそう」

「何でよ?同級生ならまだしも、祐大君て確か中2じゃなかったっけ?」

「うん」

「年違うし、顔を知らないでしょう。それなのに会いたいだなんて…」

「まぁまぁ、いいじゃんそんな細かい事は♪」




そういって美緒は、あたしの腕を引っ張って喫茶店の中へと入っていった。