怖いくらいの殺気。
本気で怒らせることくらい、覚悟の上。
私が向き合う相手は、篠原社長。
あたしは逃げない……逃げたくない。
「ー…凛子さんの事、本気で愛していたんですよね?」
「……何の事だ」
「すみません、篠原社長の事…少し聞いちゃいました」
「彼女はもう死んだんだ」
「死んでませんよ」
あたしの言葉に、篠原社長は驚きの表情を見せた。
「…確かに、篠原社長の中に生きています。…すごく、幸せそうだったと聞いています。凛子さんは最後に、あなたに会えて幸せだったと思います」
奏さんから聞いた言葉かもしれない、けれど奏さんの表情を見れば分かる。
どれだけ幸せだったか。

