静かに人影があたしの前で足を止めた。 「やっぱり、あさちゃんだったんだね」 「貴…ちゃっ……」 静かに貴斗があさにハンカチを押しあてた。 「なっ…!………ん…で……」 「ごめんね、あさちゃん。出来れば他の形で…会いたかったな」 トサッ…。 薄れゆく意識の中、今にも泣きそうな貴ちゃんの顔が見えた。 やだっ、泣かないで貴ちゃん。 あたし、貴ちゃんの笑顔の方が…すき………な…んだ…よ…。 あたしは優しく包み込むような貴ちゃんの腕で意識を手放した。