あたしの似顔絵

 あたしは、あたしの中の氷が、クロカワさんの笑みによって溶けるのを確かに感じた。

 溶けた心はあたしの指先の神経まで届き、そしてそれはけして不快では無くて。

「ありがとう」

 感謝の言葉を言ったとき、あたしはクロカワさんの背後にある、いじめられっことか嫌われ者というレッテルを忘れていた。